
柏の葉から神戸へ、そして未来へ
- 都市OS
- 柏の葉スマートシティ

事業グループ 統括
2007年に三井不動産へ入社。商業施設のテナントリーシング、基幹システム・スマートフォンアプリ開発のPMを歴任。2019年より、UDCKタウンマネジメントに出向し、柏の葉スマートシティにおけるデータ連携基盤やヘルスケアサービス開発など20件のプロジェクトでPMを務める。

エンジニアリングリーダー
2012年に大手SIerへ入社し、通信キャリア向けの大規模システム開発などに従事。2019年に三井不動産株式会社へ転職し、新規事業やAIを活用したDX支援・推進を担当。2020年からは柏の葉のプラットフォーム事業に参画し、ポータル・データ連携基盤の開発リーダー、2021年からはUDCKタウンマネジメントに出向し情報セキュリティ責任者を務める。
三井不動産が柏の葉スマートシティで育て上げた都市OSが、2024年、神戸市との共同利用によって新たなステージへと踏み出した。
都市OSで街が発展する。“公・民・学”がつくる次世代スマートシティ
このプロジェクトは、2019年に柏の葉スマートシティで始まった。
「街が、生活者や街づくりに参画する企業・行政・アカデミアにより発展する仕組みをつくる。」
そんな想いのもと、柏の葉街づくり推進部とDX本部が一体となり、都市OSの構想から開発・運用を進めてきた。
竹川(柏の葉街づくり推進部 事業グループ 統括)※以下竹川:
柏の葉スマートシティでは、”住むだけで健康になる街”の実現を目指し、公・民・学が連携してデジタルサービスの価値が向上する仕組み“都市OS”の開発を進めてきました。
立和名(DX二部 DXグループ エンジニアリングリーダー)※以下立和名:
私はこの”都市OS”の開発初期(2020年頃)から参画していますが、単なる技術(システム)担当としての支援ではなく、これまでの柏の葉の街づくりの理念を理解した上で、事業部の一員として(のちに兼務も付きましたが)プロジェクトに参加することになりました。

データがつなぐ、人と街とサービス。“都市OS”が実現する暮らしの共創基盤
生活を豊かにするサービスを利用できるポータルサイト「スマートライフパス」と利用者本人の同意によりパーソナルデータをサービス間で連携できるプラットフォーム「Dot to Dot」、接続するサービス、利用促進・開発推進・プロジェクト推進を実現するエリアマネジメントのパッケージを柏の葉では都市OSと定義している。
都市OSの運営は三井不動産が開発したプラットフォームを活用しUDCKタウンマネジメントが担う。
この仕組みは、生活者の様々な課題を解決するために、デジタルサービスの機能・価値を向上することが可能となる仕組みを目指している。
公 行政の課題を解決できる機能をポータル・提携サービスに実装する
民 サービス間でデータ・ノウハウを連携する
学 医療機関、大学・研究期間の知見を社会実装しサービスの機能を向上する
このサービス開発により、ヘルスケアアプリで自身に最適な生活指導や健康アドバイスを受け取ることができる仕組みを開発した。国立がん研究センター東病院様との連携により、がんの患者さんはその症状や治療内容に適した生活指導・料理レシピを受け取ることができる。
立和名:当時はこのような取り組みやシステムの事例がまだ少なく、プラットフォームの内部の仕組みだけでもなかなか難しい開発になりましたし、生活者や患者さん向けに見やすいポータルサイトにする工夫も試行錯誤を続けています。
竹川:重要なのは、デジタルプラットフォームの開発だけではありません。参画する公・民・学の事業主体が、自身が持つ技術・サービス・ノウハウを提供し、本気で生活者や患者さんの差し迫った課題を解決することを目指すことです。

柏の葉で育った都市OSが、日本の課題を変えていく
そして、神戸市がこの構想の実現に協力することになった。「柏の葉で育った都市OSを共同利用することで、神戸市の課題を解決する。」神戸市職員と、都市OSの運営者であるUDCKタウンマネジメントメンバーの共通の目標である。DX本部の立和名氏はUDCKタウンマネジメントに出向し、その推進を技術・運営双方で担っている。
立和名:柏の葉で生まれたこの仕組みと課題解決へのアプローチが他の都市でも上手く機能し、日本の社会課題解決の一助となるかもしれない、ということはとてもやりがいがあることだと思います。

外からじゃなく、内から変える。DX本部が“共創”にこだわる理由
DX本部のメンバーは、事業部門との兼務でプロジェクトに参画し、いわば「事業部の一員」として現場に深くコミットしてきた。
竹川:DX本部のメンバーは、本プロジェクトの思想を理解し、主体的に都市OSのサービス内容を創って頂いてます。一般的なコンサルティング支援ではなく、共同で推進する仲間です。
立和名:私、前職はSIerでしたので、なかなか事業会社が抱える課題の深層を捉えることが難しい立場が多かったのですが、街づくりの現場や生活者の声が聞きやすい運営の立場に身を置くことができ、いろいろな発見があったと思います。

この街から、社会は変えられる。都市OSが描くスマートシティのこれから
「行政×民間×デジタルの共創」という新しいモデルを実現し、都市OSが他都市でも価値を発揮できることを証明した。
竹川:スマートシティプロジェクトは、参画する生活者や、事業者のメリットを最大化する視点を持つことが大切です。生活者に対する価値提供を最大の目標に置けば、公民学が同じベクトルを向いて取り組みやすくなります。この視点を忘れずに、スマートライフパス展開都市にて引き続きサービス拡大に取り組み、都市OSやスマートシティの価値を日本全国へと展開したいと思います。
KDPF(柏の葉データプラットフォーム)は、今やスマートシティになくてはならないインフラともいえる存在へと進化しつつある。建物や土地と同じように、地域社会に価値をもたらす社会インフラとして、街の機能そのものをアップデートしていく。このプロジェクトは、その第一歩だ。
立和名:このプロジェクトの面白さは、様々なアイデアやサービスをどうやって具現化するかを考え実装に移せることだと思います。事業部と一緒に展開推進を進めていきたいと思います。
DXは道具ではなく、街の成長を支える“共通言語”だ。柏の葉から神戸へ──そしてその先へ。DX本部と事業部の共創は、これからのスマートシティの可能性を広げていく。