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現場とともに
「何を実現すべきか」を見極める
DXコンサルタントが事業の可能性を広げるまで
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芦立 雄太郎アイコン
芦立 雄太郎 ソリューションパートナー本部
法人ソリューション一部 主事

2020年に三井不動産に総合職掌として新卒入社。2024年に現本部に異動し、現在は法人ソリューション一部に所属。法人のお客様の視点に立ち、不動産に関するさまざまな課題に対して、三井不動産グループが有する事業メニューを活用しながら、最適なソリューションの提案に取り組んでいる。

石橋 想太郎アイコン
石橋 想太郎 DX本部AI戦略室 エンジニアリングリーダー

2013年に大手情報サービス会社に入社。人材領域におけるDX推進にプロジェクトマネージャー(PM)・プロダクトマネージャー(PdM)として12年間従事。2025年に三井不動産にエキスパート職掌(IT系)のDXコンサルタントとして中途入社。

三井不動産DX本部のDXコンサルタントは、技術を導入するだけの存在ではない。多様な事業の現場に入り込み、まだ輪郭の定まらない課題を言語化し、事業部とともに「何を実現すべきか」を構想する。ソリューションパートナー本部における生成AI活用を題材に、DX本部に所属するDXコンサルタントの石橋、法人ソリューション一部の芦立が、職掌や立場が異なる人との協業について、そしてDXコンサルタントに求められる力を語った。

DXコンサルタントの仕事は、真の課題を整理することから始まる

DXコンサルタントは、事業部から要件を受け取り、システムに置き換えるだけではない。現場がすでに感じている違和感や課題を、他者と共有できる問いへと整理し、実現に向けた道筋を描く。今回、石橋が協業する法人ソリューション部は、法人のお客様の経営課題や将来像を起点に、不動産にまつわる幅広い選択肢を提案する組織だ。不動産に関する案件ごとの背景や、お客様との関係性を読み解く力が求められるからこそ、知見を組織として継承することが重要なテーマとなっている。

芦立(ソリューションパートナー本部 法人ソリューション一部 主事)※以下芦立:
お客様のニーズが多様化・複雑化するなか、部員はより多岐にわたる情報を感度高く把握し、理解する必要があります。三井不動産の総合職は、おおむね3~5年ごとに、事業領域をまたいで異動します。そのため、一人ひとりがキャッチアップできる情報量には限界があります。そこで生成AIを、単なる業務効率化のツールではなく、より付加価値の高い提案を行うために部員の知見を高める仕組みとして取り入れたいと考えました。

石橋(DX本部AI戦略室 エンジニアリングリーダー)※以下石橋:
最初に意識したのは、法人ソリューション部での生成AI活用を通じて、どのような状態を目指すのかを描くことでした。個別のAI案件を積み上げるだけでなく、全体構想とロードマップが必要だと考え、入社して1か月ほどでしたが、自ら整理して提案しました。

芦立:DX本部とは、生成AIを業務にどう取り入れていくか、ロードマップを描くところから一緒に考えています。AIが一人の社員としてパフォーマンスを発揮する未来をイメージしながら、AIとのコミュニケーションを設計している感覚です。

同じものを見ながら話せる「共通の参照点」をつくる

DXコンサルタントにとって、現場理解はプロジェクトの出発点となる。しかし、すべての情報が最初からそろっているわけではない。石橋は、事業部へのヒアリングや業務資料の確認を重ねながら、得られた具体的な情報をもとに、課題の構造を整理していった。

石橋:現場の方々は、課題そのものを誰よりも深く理解されています。ただ、日常では当たり前になっていることほど、何が課題で、なぜ起きているのかを他者にも扱える形に構造化するのは簡単ではありません。私は、具体的な情報や現場で感じた違和感を整理し、その背景にある課題を現場のメンバーとともに明らかにする役割を担いました。

芦立:最初は、生成AIを活用した仕組みづくりで、DX部員にどのような情報を提示すれば役立つかを考えていました。しかし、いくつかのテストを通じて、優先すべきは「いかに使われる仕組みにするか」だと気づきました。実際に、生成AIを活用した提案支援のプロトタイプを手元で動かしてみることで、紙の上の構想だけでは見えなかった論点が出てきました。

石橋:言葉だけで議論していると、同じことを話しているつもりでも、異なるものをイメージしていることがあります。だからこそ、資料やプロトタイプなど、双方が同じものを見ながら話せる「共通の参照点」を早い段階でつくることを大切にしています。現場に仮説を返し、フィードバックを受けて修正する。その往復によって、現場理解と課題設定の精度を高めていきます。

芦立:石橋さんに構想を形にするための道標を示してもらうことで、プロジェクトが着実に前進しています。単なるシステム設計を超えて、ビジネスの目線で同じ目的意識を共有できているからこそ、プロジェクトメンバーが一体となって取り組めていると感じます。

事業とDXが双方の専門性を持ち寄って共同で設計する

事業部が担うのは、業務やお客様への理解をもとに、事業として何に価値があり、現場として何が正しいのかを判断すること。DXコンサルタントは、AIやデータ、システムの専門性を生かし、その価値を実現する方法を考える。ただし、両者の関係は、それぞれの役割を受け持つだけの分業ではない。

石橋:事業部と何を目指すのかを考えるだけでなく、それをAIやシステムでどう実現するかまで具体化する必要があります。直近の案件でも、外部パートナーと連携しながら、システム環境の構築やコードを書くなど、実装にも関わっています。
ただ「事業部は業務、DXはテクノロジー」と線を引きすぎると、相手の課題を外側から解釈する関係になってしまいます。何を課題として設定するのか、どのような状態を目指すのかという上流の問いから、双方の専門性を持ち寄って共同で設計することが重要です。私はDXとして解決策を持ち込むのではなく、事業側と同じ問いを持ったうえで専門性を持ち込むことを意識しています。

今回、両者が目指しているのは、生成AIを活用して部員の知見を高め、お客様への提案の質を高めること。その具体的な取り組みとして検討しているのが、提案に至る過程で行う議論やレビューへの生成AI活用だ。

芦立:三井不動産には、年齢や部署の垣根を越えて、さまざまな社員と議論を重ねて案を磨く「壁打ちの文化」があります。本プロジェクトの中でも、生成AIによって業務を担当者一人の中で完結させるのではなく、より活発で有意義な議論が生まれる環境をつくりたいと考えました。まずは、お客様への提案に至るプロセスを分析し、生成AIで上司と部下が日常的に行うレビューの質を高めることから検討を始めています。

石橋:そうした議論やレビューを支えるうえでは、個人の経験や案件資料に分散している知見を、組織として活用できる形にすることが重要です。生成AIによって、大量の非構造化された情報を横断的に読み解き、共通する考え方やパターンを抽出しやすくなりました。こうした知見を、法人に紐づく再利用可能な知的資産へと変換できる可能性があります。ただ、技術だけでは価値になりません。どのような知見が提案やレビューに役立つのかを現場とともに見極め、何を残し、どう使うべきかを考え抜くことが必要です。

事業変化の起点をつくれることが、仕事の魅力

オフィスビル、商業施設、住宅、ホテル、物流施設など、幅広い領域で事業を展開する三井不動産では、DXコンサルタントが最初からすべての領域に精通していることは求められない。では、そうした環境で事業部とともにプロジェクトを前に進めるためには、どのような力が必要なのか。

石橋:向いているのは、抽象と具体の行き来を楽しめる人だと思います。十分な情報や明確な正解がない状態でも、限られた具体情報からビジネスの構造を捉え、自分なりの仮説を組み立てる。必要なら現場に足を運び、詳しい人に話を聞き、短期間で「その事業について一緒に考えられる人」になることが大切です。
ただ、考えて終わるのではなく、仮説を資料やプロトタイプとして形にし、実際の反応を見ながら修正していくことも重要です。最初から自分の役割を「ここまで」と決めず、プロジェクトを前に進めるために必要なことを自分で見つけて動く。そうしたサイクルを自分ごととして楽しめる人は、この仕事に合っていると思います。

芦立:これから入社されるDXコンサルタントの方々には、どうすれば三井不動産のビジネスが成長できるのか、現場と一体となって成果を追求してほしいと思っています。いい意味で垣根なく部門に入り込み、ともに考えていただける環境が三井不動産にはあります。

石橋:不動産が実際に形になる前の、「何をつくるべきか」を考える構想の起点から関われることが、この仕事の面白さです。まだない事業や不動産の可能性を、AIやデジタルで拡張し、事業部と一緒につくっていく。人や専門性をつなぎながら、その変化の起点をつくれることが、三井不動産のDXコンサルタントならではの魅力だと感じています。

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